コロンビアにおける家の考察 玄関ドア編

南米コロンビア

玄関は家の住人を迎える表口であり、また、家人でない人を迎える表の顔、常に美しく保っておきたい建具である。

しかし、当地では別の意味を持つ。

玄関は、悪人にとっては特にマンションなどでは唯一の突破口であり、宝の山(かどうかは家によるが)に通じる道の第一歩なのである。

特に治安のあまりよろしくない南米においては、玄関のドアに関しては、非常に神経質に気を使っている。

ちなみに私の家のドアも性能的には非常にすばらしい代物である。

鍵は二つついており、一つは、内側からかける鍵で直径が2CMはあろうかという鋼の鍵がかかるようになっている。メインの鍵はこれまたごっつく、4回もまわすのだが、一回まわすごとに、一のロック、二のロック、三のロック、四のロックと合計4本の鋼の棒が、部屋を密封する仕組みとなっている。

また、万一のマシンガンや小型爆弾の爆発に備え、玄関ドアには鉄板が仕込んであり、ちょっとやそっとのことでは、突破できない、非常に堅牢な守り口となっている、、、と思っていたが、思わぬ弱点があることが判明。

恥ずかしい話になるが、尿意を催し、外から大急ぎで家に帰り、とにかくあせっていたので、鍵をいつもより高速で解除、一のロック、二のロック、三のロックまでは解除できたようだが、とにかくあせっており、四のロックの解除が完璧ではなかったようで、ドアノブを強く引いたところ、さすがに、小型爆弾にも耐えうるどのような泥棒も跳ね返す万能型防犯ドア、びくともせず、その強い美しい姿を保ったままである、ただ、ドア自体はその美しい姿を保ったままであったのだが、そのドアの角度が少しずつ変化していったのである、端的に言うと、私の方に倒れてきた。

何が起こったのか全く理解できないまま、ただ、ここで放心してしまっては、今まで我慢した甲斐がなくなるので、状況理解しないまま、とりあえず、トイレへ直行。

天にも昇る気持ちで気持ちよく用を済ませた後、手を洗いながら、何が起こったのか怖くなってくる。

すぐに手を洗い、玄関に戻ってみると、とてもシンプルなことが原因で起こった事実であることが判明。

ドアについている蝶番の部分と第四のロックの壁が壊れて、ドアが取れてしまっていたのだ。

このように完璧な防御を誇るドアでも土台の壁が極端に弱ければ、全く意味を成さない無用な長物であることが判明した出来事であった。

全く別の話だが、更に、鍵の話で、第四のロックまであるのはいいが、鍵が大きく、更につくりが非常に単純。

シンプルな形となっている。鍵が大きくシンプルということは、鍵を挿入する穴には簡単に道具をはめこめ、シンプルな形のために簡単に開いてしまうのではという心配になる。

私は鍵師ではないので、鍵を開ける専門知識もなく、また、スパイ映画のように針金一本で鍵を開ける技術はない。

ただ、ここまで単純な形で大きい鍵穴ならば、自分で、針金で鍵と同じ形状を作り、あけてみるとどうなるか試してみた。

鍵は大きく単純なので、特段苦労するものもなく、針金で枠だけの鍵を作ってみた。

これだけセキュリティーが厳しい国なので、まあ、見かけは単純でも、平和な日本から来た俺にはわからぬようなとてつもない仕掛けがあり、開かないだろうと半信半疑で鍵穴に挿入。

まわしてみた。まわった。まわしてみた。。まわった。。まわしてみた。。。まわった。。。まわしてみた。。。。まわった。。。。空いてしまった。。。。。

この経験を通し、私はドアの存在につき、悟った。

ドアとは、それを支える壁、ドア自体の強度、しっかりとした鍵という三位一体ではじめて安全を確保できるものであり、三権分立、縦割り行政では全くその機能を発揮できないものなのだと身をもって知ったのであった。

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