海の家での望まざる何かとの同居生活

房総

ある日の事、リフォームで疲れ切った体で夕食を食べながら晩酌をしていると、かすかな音がする。

晩酌しているので、空耳かと思い、耳を澄ますと、音が確かにしている。

時刻は、夜11時、外は漆黒、家の中は電気のおかげで明るいが、ぱっくりと開いた天井裏は外と同様の漆黒の闇。

そこから最初小さな音が、こつこつこつこつ、何者かが歩くような音、その後、ずー、ずーと這うような音、このダブル構成。

お化けなどが怖い私であるが、これはお化けの類ではなく、明らかにこの世の生命体の音で、おそらく望むべかざる生き物、小型の獣か、はたまた大型の蛇か。

ともかく音が続くので私は、ぱっくりと開いた漆黒を見つめる、何も見えない。

ただ、音は大きくなってきている、すなわち、なんらかの生物が私に近づいてきているということ。

私は恐怖を感じながらも、お化けであればなすすべはないが、生き物であればということで、近くにあったツーバイフォー材を手に取り、漆黒の闇に近い柱を強くガンガンたたき、だれだ、だれだと叫びながら威嚇する。

普段が建築材料としての使用しかできないツーバイフォーが今回は力強い武器に変化した。

この間も音は近くなってきていたが、威嚇をすると止まった。。。。

私は恐怖のため、アルコールを追加し、落ち着こうと思ったのだが、ちょっとするとまた音がして、それが大きくなってきた。

私は先ほどのツーバイフォーを手に取り、柱をたたいても今度は音はやまない。

これは、更なる強力な武器が必要であると考え、そばにあったこれまたツーバイフォーの切れ端を手に取り、漆黒の闇の中に直接打ち込むという手荒い攻撃にでた。

ただ、最初はちょっと手元が狂い、ツーバイフォーの弾丸は、漆黒の闇に吸い込まれず、ふちにあたって私への攻撃となって跳ね返ってきた。

危うく打撃を受けるところであったが、これは運よく私をそれたので、再度拾い、狙いを定め、漆黒の闇目指してほおって見る。

2回目はうまく入り、そのとたん、音はパタッとやんだ。

私は先ほどの経験があるために、念には念を入れ、後2発ほどのツーバイフォー爆弾を打ち込み、戦闘を終了した。

音はやんだ。

私は寝る前に最後の防御の施策を二つ施した。

一つは、アルコールをもう一口、恐怖心が薄まり、いい感じ。

もう一つはなたを枕元に置く、もし、先ほどの攻撃の報復に出られた場合、丸腰では心もとなく、アルコールにより恐怖心は薄らいでいたものの、現実問題としての最後の防衛本能が働き、なたを装備。

この二つの施策により、知らぬ間に眠りに落ちていた。

次の朝になると何もなかったように屋根裏は静か、寝ていた場所の周りに何らかの生物が近づいた形跡もなく、ほっと胸をなでおろしながらの起床となった。

朝日がさし、明るいが、やはり一人では屋根裏を見る気にはなれない。

今度奥さんと来るときにどっちが見るか相談してみようと思いつつ、天井裏には近づかぬこととした。

そういえば、前々回海の家に来た際に、何らかの生物にごみをあさられていた。。。

怖くなった。。。

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