幸運なことにコロンビアのサニタリーレベルは低くはない。
もちろん田舎にいけばそれなりのトイレに遭遇することもあるが、概して、トイレの使い方はきれいである。
概してと記載したのはそれなりの理由がある。
紙の捨て方の作法
コロンビアをはじめ南米のトイレは基本的に紙は流してはいけない決まりになっている。
トイレットペーパーは使用後、トイレの横にあるゴミ箱、気の利いたところであればふたがついており、使用済みの紙は見えないようになっている、気の利いていないところではそのままのゴミ箱なので、使用面を下にして、汚れを隠すように丁寧に捨てることがたしなみである。
水流などは日本と変わりないように思えるのだが、なぜか紙を流すとすぐにつまってしまう。
これは、紙の質によるものかとも思い、トイレットペーパーを水につけてみると、日本のように紙は水に溶けるように分解していく。
聞いた話だが、水流などはあまり変わりないが、排水のパイプが極端に細いためにこのような事態に陥ってしまうようである。
ただ、ものは問題なく流れるので、不思議な感じがするが、その通りなのであろう。
外国人が誤ってトイレに紙を流してしまうと確実といっていいほど詰まってしまい、その際には次に使用しようと思った人は不快な思いをする。
便座の役割
便器には、通常ふたがついており、その下にU字またはO字の便座があり、それも開閉可能となっているトイレが一般的であると思うが、ところどころで、このU字またはO字がご丁寧にも取り払われているトイレがある。
このU字またはO字は非常に単純なつくりで、何も意味をなしていないように見えるのだが、特に男性用トイレにとっては、衛生レベルを格段に上げる非常に優れたデバイスなのである。
というのは男性用トイレであると、座らないで小用を足す人もいるのだが、この際、水面からの跳ね返りでふちが汚れてしまうのである。
このU字またはO字があれば、持ち上げて小用を足すので、瀬戸物に跳ね返りがあっても次の人は、U字またはO字を下げて使えばよいだけであり、快適に使えるが、それがない場合、次に座る人は、未知の液体に接しなければならない事態に陥るのである。
実感としてこのU字またはO字がここまで重要な意味を持つとは体感したことはなかったが、本当に重要である。
ただ、どうしてこのU字またはO字があえて外されたトイレが存在するかは謎のままである。
センサー
ハイテクは何事もよいもののように思われるが、中途半端なハイテクは非常に迷惑である、そして、トイレに関してはローテクのほうがよいと思われる。
近代的なビルのトイレは、センサーにて流れる仕組みになっているが、このセンサーの基準が狂っており、流したいときに流れない、流さなくてもよいときに流れてしまう。
あるトイレでは、水流には全く不満はなくかなり激しい水流を作りだす。
このような状況下、はっきりしていない基準のセンサーが装備されていると本当に使いにくい。
まず、普通に座ると、別に流さなくてもよいのにセンサーが反応し、激しい水流を巻き起こす。
激しいがゆえに無駄な跳ね返りを受けることになってしまう。
一方、用を足し、流そうとして、センサーに手を当てるもなかなか流れない。
座った距離で流れるのだからとちょっと距離をとって手をかざしたり、手を振ったりしても反応はしない。
頑固に反応しないので、座ったりもするが、流れないこともある。
注意書きには、手をかざし、2秒して流れなければ隣のボタンを押すように指示があるが、ボタンをおしても流れず、かなりあせる場面も多々ある。
最近気づいたのだが、そのような時は変にあがいてもしょうがなく、ひたすら手をかざし続ける、祈りをこめてかざし続ける、そうしているうちにやっと熱意が通じるのか流れるという仕組みに気がついた。
下手な小細工は必要なく、熱意で手を動かさずかざし続けることだけが、流す秘訣であった。
ちなみに最長で、1分程手をかざし続けないといけないこともあった。
ローテクの機械稼動の流すバーが非常に恋しくなる一幕である。
男性用小用便器のコバエの絵、または射撃の的の絵
逆によい意味の工夫を見かけたことがあった。
男性用小用の便器にコバエの絵、または射撃の的が描かれているものだ。
男というのは不思議なもので、本能からかなにからか、自然とその蝿の絵、または射撃の的の中心に向かい、液体を放出するのである。
これは、自然にそのように思ってしまい、男の本能をうまく利用したトイレをきれいに保つ工夫のように思われる。
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