北海道 -秋の知床旅情2-

旅行

親子朝風呂

二日目、早朝、外を見るとまだ雨がぐずついている、起床後、少し部屋で遊び、早々に朝食ビュッフェに。

朝食ビュッフェも工夫が凝らしてあり素晴らしいのだが、やはり奥さんと子供たちはソーセージや目玉焼きなどをほおばっており、古き良き時代の昭和の温泉宿の伝統的な朝食的なメニューには目もくれない。

朝食が終わり、部屋に入ると奥さんがシャワーを浴びたいという。

ユニットバスのシャワーなど味気がないが、奥さんはタトゥーを入れており、また、お国柄か同性の前であっても他人の前で裸になることに抵抗があり、温泉には一切入らない。

よって、部屋でのシャワーとなる。

私はここぞとばかり、長男のワイヤを温泉に連れて行っていいか聞いたところ、すんなり了解を取得。

ウキウキしながら、私とワイヤは温泉へ。

温泉も素晴らしく、ここも子供にすごく優しい。

子供用のシャンプーハットやいす等あり、また、子供用の浴槽とそこには浴槽で遊ぶためのおもちゃまである。

絶好の親子朝風呂日和である、タタを連れてこれないのがちょっと寂しいのだが。

ワイヤは奥さんに常に水のようなシャワーにならされており、熱いお湯が大の苦手。

ちょっと温かいだけで熱い熱いと大騒ぎ。

まずはシャワーでお湯に慣らすためにぬるめに調整したシャワーをかけると熱い熱い、少し、温度を下げ、かけても熱い熱い、これ、水?というくらいのぬるま湯下限までもっていきやっと静かにシャワーを浴びている。

これでは、風呂には入れない。

案の定、子供用のお風呂に連れて行ってもお湯が熱くてはいれないという。

将来子供同士で銭湯や温泉などへ行ったとき、仲間外れになるのではないかと、男親の責任として温泉に慣れさせるという使命感がメラメラとわいてくる。

ただ、やはり熱く苦しんで風呂に入れるのも何なので、水風呂につれていき、入れてみると喜々として入浴している。

その日から冷たいお風呂大好きというようになった。

いずれにせよ、人生で二回目の温泉、大浴場は水風呂に満足し終了。

何とか普通の温度のお湯に入れるべく、今後は親子鷹として練習に励んでいく予定。

部屋に戻るとシャワーですっきりした嫁とタタが待っていた。

そこから予想通り、のらりくらりと準備が始まり、2時間後にやっと出発。

羅臼ネイチャーセンターとオショロコマ

この日は野付半島の先まで行き、北方領土を見渡し、歴史を語るという教育的目的もかねたスケジュールであった。

野付半島へは知床峠、羅臼経由で行こうと思ったのだが、途中の羅臼ネイチャーセンターには寄ろうと思っていた。

ここは、小さい場所ながらシャチの骨格やヒグマのはく製等、野生動物の生態を知ることができ、とても勉強になる場所。

また、その前には川が流れており、その川はそこで堰堤になっているのだが、この堰堤では、小さいオショロコマを大量に釣ることができた記憶があり、チャンスがあればちょっとだけ竿を出したいと思ったもの。

私自身、知床は大好きな場所で今までの人生で何度も来ていたことからの経験値により、この釣り場所を知っていた。

この日は天気が悪く、雨と風が激しく、知床峠の峠の頂部分では大荒れ、けど車であれば関係なしということで、快適なドライブをしていた。

知床峠を超えると、天気は緩やかに回復し、最終的に曇り空となった。

曇り空の中、羅臼ネイチャーセンターにたどり着くも、タタが朝の昼寝をはじめてしまったので、ネーチャーセンターの中には行けない、

一方、ワイヤはタブレットに夢中ということで、ちょっと釣れるか様子を見てくるということで、竿を出すと、すぐに小気味のよい当たりがあり、一匹のオショロコマが吊り上げられた。

奥さんにはいつも釣れないと馬鹿にされるので、見せたいのだが、車までは、100メートルほどはあり、オショロコマが亡くなってしまうので、見せることなくリリース。

その後、2~3回流すも当たりなしで納竿。

子供たちと奥さんを車に残し釣りをし続けるわけにもいかないので、様子を見に車に帰るとタタが朝の昼寝から現実に戻ってきていた。

すぐにワイヤとタタをつれて、ネーチャーセンターの中へ。

ネーチャーセンターは迫力のある展示物があるのだが、タタの気は、すぐそばの子供の遊び場コーナーへ。

東京にでもあるような単純なぬいぐるみや乗り物などで遊んでいる。

しばらく遊び飽きるとやっと本題。

ヒグマのはく製や、シャチの骨格などの前で写真を撮る。

ワイヤは最近、吠えて人を驚かすという遊びにはまっているのだが、ヒグマのはく製にも同様に吠えて脅かそうとしている。

本物が出てきたときに同様の行動をとらないようにしっかり教育していかなければと強く思う。

また、知床の自然を題材とした塗り絵の白い紙がたくさん置いてあり、そこで塗り絵をさせる。

本当に日本の施設は、職員の方の努力でそれぞれがお金をそれほどかけるわけではなくても工夫されており、子供たちがさまざまな経験を自然にできるようになっており、感謝である。

緑のタヌキではなく緑のラーメン

おそらく現在40台以上の人であれば赤いタヌキと緑のタヌキというコマーシャルは目にしたことがあると思うが、今度は緑のタヌキならぬ緑のラーメンに出会った話。

1時間ほどネーチャーセンターで過ごした後、羅臼に降りる。

野付半島まで行こうと思ったのだが、どうもやはり時間的に考えて、どうしても到着できない、また、到着したとしても、子供たちは昼寝の最中となり、昼寝の途中で起こすことを最も嫌う奥さんのことを考えると、連れて行っても無理であろうということで、本日の目的地は羅臼までとする。

ラーメン好きな我が家は、昼は当然ラーメン。

羅臼の昆布ラーメンというものが食べたくなり、道の駅に入る。

道の駅にラーメンがあるらしいので。

道の駅のレセプションのおば様に、ラーメンはどこですかと聞くと、道の駅の外のラーメン屋さんを教えてくれたので、いいえ、道の駅の中のラーメン屋さんでというと、ああ、そこの階段を上がったところの食堂と教えてくれる、ただ、正直で親切なおば様で、外のほうがおいしいのにねー、ただ、お子さんが小さいから、ここで食べたほうが便利かもね、ここのもおいしいよと。

もうちょっとおいしいものがあるのかと思いながらもおっしゃられる通り、子供をつれて移動もおっくうなので、そこでラーメンを食べる。

昆布ラーメン。

この昆布ラーメン、スープの出汁は勿論、名産の羅臼昆布の濃厚スープ、気づかなかったのだが、麺にも昆布が練りこまれているよう。

なぜなら、ワイヤがその麺を食べながら、緑の麺といって笑っている。

その後、ワイヤは事あるごとに緑の麺といって笑うこととなる。

大盛二杯と普通一杯で子供二人と大人二人を養おうと思ったのだが、我が子たち、3歳と1歳ながらとてつもない食欲。

結局、あまりにもおいしく、もう一杯追加し、大盛二杯と普通盛二杯の大人でも通常の量をこなす、末恐ろしい食欲である。

クジラの見える丘

食べ終わった後は、ドライブということで、羅臼から知床半島の先を目指そうということで車を走らせる。

途中、熊のはいった民宿という看板などを見ながら、クジラの見える丘という看板を見つける。

急な坂道を上り、クジラの見える丘へ。

知床半島、羅臼側の海岸線及び北方領土を見事に見渡せる展望台で数枚の写真を撮る。

私は島好きなのだが、北の島にはあまり行った経験がなく、ぜひとも北方領土には旅行で訪問したいと思うのだが、政治的に難しく、ただ、やっぱりじかに見るとその美しさと迫力から、将来家族で行けるようになればなと強く思った。

このクジラの見える丘、後ろは、熊笹が広がっており、ドライブ途中で見た看板の熊の入った民宿の文字が頭に浮かび、常に背中の気配や熊笹の音に注意を払う。

車に戻り、出発しようとすると、ドアをノックする人が。

顔は東洋系、ただ、言葉はネイティブな英語で、ヒッチハイクのよう。

羅臼に行くかというので、羅臼と逆のほうに行こうと思っていたので、断り、そのまま出発。

羅臼と反対方向に車を進めるがあまり景色に変化がないので、帰ろうかということで、10分くらい走ったところで、羅臼方面へ方向転換。

クジラの見える丘の道路沿いに見覚えのある人影が、親指を立てている。

先ほどの若者で、我々はその時は羅臼を目指していたのだが、やはり幼子を乗せてのトラブルはさけたいとのことで、心の中でごめんといいながら無視して通り過ぎる。

その後、知床峠に近づくにつれ、暴風雨が強くなり、ただ経験のため、一応、知床峠の駐車場に車を止め、私だけ外にでて、自然の力を体感、一瞬でずぶぬれ、一瞬で極寒、すぐに車に戻り、知床峠を降りていき、ウトロ方面へ。

イワナ降臨

標高が下がるごとに雨もやみ、また、風もなくなり、すこしずついい気候になっていく。

私は昔からホテル地の果てに続く道が自然が濃くて大好きで、奥さんや子供たちに見せてあげたいと思い、知床横断道路を知床五湖方面へ、右折。

しばらく道なりで、もとユースホステルのある場所の谷にたどり着き、そこから、右折し、ホテル地の果て方面へ。

秋ということもあり、紅葉でとてもきれいな自然の中の道をゆっくりと野生動物を探しながら進む。

途中、川と近くなっている場所があった。

ワイヤとタタは昼寝中、恐る恐る奥さんにちょっと竿出してみると。

かるく竿を出すと、20Cm程度のイワナが釣れる。

車の位置も近いので、喜んで魚を見せに行くと、奥さんが写真をパシャリ、結婚して10年だけど初めて魚が釣れているの見たと、底意地の悪い笑み。

いつも片手間で一瞬しか時間をくれないからつれないのであって、ちゃんとすれば釣れるのにと思いながらも一匹で満足。

その後、ワイヤが起き、寝ているタタを残し、車のごくごくそばを奥さんとワイヤと私で散策、というか撮影ツアー。

どの場面をとっても自然が美しすぎるので絵になる。

その後、タタは起きないので、車に乗り込み、起きたワイヤと野生動物を探しながら、ホテル地の果てにたどり着き、Uターン。

この日のドライブ終了。

ヒグマ降臨

ホテルへ帰ろうとすると、山の中腹であるが、5台ほどの車が止まっており、谷底を見下ろしている、私もとめて見に行ってみると、黒い点が動いている、ヒグマだ!!!

知床でヒグマを見たのは生まれて初めてであり、奥さんにバトンを渡さなければ殺されると思い、車に戻り、奥さんにヒグマがいたことを報告。

奥さんは、カメラを持ち、慌てて、谷底が見下ろせる場所へ。

手を軽くたたき、飛び上がって喜んで、その後写真を撮っている。

戻ってきて、聞くと、三匹のクマが森に帰っていくところであったと。

奥さんは鷹のように目が良い、私は目が悪い、私が見たのは黒い点一つ、奥さんが見たのは3匹のヒグマ。。。

奥さんに理不尽さを感じながらも見れた幸運に感謝。

エゾシカ降臨

その後、知床横断道路にたどり着く直前に道路のわきに鹿がでて、これは、ワイヤもまじかに見て大興奮。

タタ負傷、ただ素晴らしい方たちに助けられ回復、感謝!!!

数枚の写真をとって、ホテルへと帰る。

夕方となっていたが、夕食までは時間があったので、私はその日の朝、ワイヤが好きになった温泉をさらに好きにならせるために再度誘うと冷たいお風呂といって喜んでいる。

それでは行こうということで、用意を始めると、ドンという低い音とともに、タタの何事かと思うような激しい泣き声、奥さんの阿鼻叫喚。

奥さんがタタを抱きしめ頭を押さえている。

奥さんが、タタがテーブルの角に頭を打って、血が出ている、傷口を見て、穴が開いているという。

私はすぐにきれいなタオルをわたし、強く圧迫するように言う。

奥さん、泣き叫び動転、私も動揺、土曜日、ウトロ町、医者???様々な考えが頭をよぎるが、とにかく、タオルにつく血が多量で動揺。

すぐにホテルのフロントへ走り、救急車を要請。

ウトロには消防団がありすぐに救急車がきてくれるという。

私はすぐに部屋に戻り、様子を見ると奥さんは落ち着いて、子供の血も止まっている様子。

傷口を見ると、穴というよりはめくれてしまっている感じでぱっくり開いているが、穴は開いてない、

ちょっと安心し、ただ、救急隊の方が、ドアをノックして入ってきて、傷口を見てくれる。

どうかな、といいながら、病院へは勿論連れて行ったほうがいいと。

病院は土曜日ということもあり、ウトロにはなく、35Kmほどはなれた斜里町までいかなければない。

翌日は日曜日、何かあった場合さらに病院などは不便になるかも。

総合的に考えて、今病院に行ったほうが良いということで、救急車の方に道すがらの不測の事態も考え、タタと奥さんを運んでもらうことでお願いし、私とワイヤは私の車で救急車を追うことに。

夜の道東の道をワイヤとともに走りながら、タタに何もないことを心底願う。

ワイヤは普段はわがままなのだが、事態を了解してか、タタを心配し、おとなしくしている、私は、ワイヤにしっかりと状況理解してくれ、家族の一員として、しっかりふるまってくれていることに感謝して、道すがら何回もお礼を言った。

当然のごとく渋滞もなく、信号も数えるほどしかなく、病院に到着。

患者さんは誰もおらず、受付の男性と、お医者さんと看護婦さんだけである。

救急隊の方は、長い道を運転してくれたにも関わらず、我々はこれでということで、立ち去ろうとしている、本当に感謝と尊敬の念しか持てない。

ありがとうございました。

お礼を言っていると、お医者さんから呼ばれる。

お医者さんは、これは、開いてしまっているので、縫わなければと言っている。

そっか、縫うのか、よかったと私は思ったのだが、お医者さんは悩み、難しいと言っている。

麻酔のお医者さんがおらず、どうすれば小さい子供を泣き叫ばせず縫えるのか考えている。

最終的に薬を飲ませ、眠らせ、その時に傷に局部麻酔の注射を打ち、縫うという方針が決まった。

液体の飲み薬を飲ませようとするも、飲まない、よって、座薬で対応。

5分から10分で寝ると言っていたのに泣き叫び、いっこうに眠らない、最終的に30分してやっと眠りに落ちる。

眠りに落ちた後、診察室に行くと、いきなり泣き叫ぶ声が聞こえてきて、看護婦さんよりお父さんと呼ばれる。

私は診察室に入ると、傷口に麻酔の針を刺した時点で激痛で子供が薬の効果をものともせず起きてしまい、暴れている。

看護婦さんより体を抑えるように言われ、私は体を力技で抑える。

お医者さんは傷口に3回ほど麻酔の針を立てる、

見ているほう、こちらのほうも痛かった。

その後、麻酔が効いてきて、縫合一針は全く問題なく終了し、その後眠りを利用し、MRAをとり、内出血がないことを確認。

お医者さんも看護婦さんもとても親切で、また受け付けのおじさんも親切にいつも声をかけていただき、温かい対応で感謝感激でした。

色々あったがすべての診察が終わり、病院からホテルへ戻る。

疲れ切り、気の張っていた奥さんにリラックスしてもらうようビールを差し入れ、奥さんは車の中でビールを飲酒、もちろんドライバーの私はジュース。

子供がけがをするとこれほどまでにつらいものなのかと初めての経験。

ホテルに帰り、ホテルのバイキングは当然終了していたので、コンビニのお弁当で夕食をすまし、就寝。

タタは引き続き薬の効果で熟睡中。

ワイヤも疲れのためかすぐに眠りに落ちた二日目の夜。

てんこ盛りの怒涛の二日目終了!

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