番外編 ワイヤの幼稚園選考騒動

家族

幼稚園選考のための下準備

お受験と言っても有名な私立のお受験というものではないのだが、子供の絶対数に比して、幼稚園の募集人数が少なく、かなりの競争率と聞くと、それはそれは、神経質になるもの。

少子化と叫ばれて久しい中、幼稚園の入園が大変とは矛盾に満ちているが、なんとしても成功させなければ。

外国人の奥さんからするとそんな危機感は全くなく、私は子供を信じていると、信じるものは救われる的な根拠のない絶対信仰。

この国で、ひいては現世の人生で、現実を見るのは、やはり私ということで、会社の同僚のお母さんなどにも面接での心得や服装等を聴取。

またインターネットで情報収集。

服装も常識的なものが決まっていたりと、私の甘い考えを叱咤するような、かなり想像していたのとは違う常識という名の厳しいルールが存在しているようである。

服装を常識から外し、そのようなところでわざと外れて目立って合格を狙うという逆張りもと考えたのだが、それは私の考えで、それでワイヤの迷惑になるわけにはいかないと、あまり納得はしていなかったが、粛々と常識的な服装の服をインターネットで購入する。

さっそく購入した服をワイヤに着せると、本当にかわいい姿に、思わず、日本の幼稚園選考の常識に感謝すると共に、もう写真選考で通してくださいと言うだれにかわからない漠然とした祈り。

次に父親の身だしなみ、どうも親の面接があるようで、これは日本語であるため、父親の私がこの大役をこなさざるを得ない、面接会場に入れるのは、一人という制限があるように書いてあったのだがこれは後で問題を招くことになる。

いずれにせよ、おやじのせいで子供が落ちるなどという事態に陥ったら目も当てられず、よって、おやじの私の身づくろいも同時に行った。

室内で使用する黒いスリッパを購入し、くたびれた革靴は新調し、スーツはクリーニングでピカピカのもの、さらにネクタイも比較的落ち着いたものが多かったので、少しでも若作りができるようにブルー系の明るいものを購入し、結構気合を入れる。

また、メガネも優しいパパに見えるように曲線を帯びたメガネに変え、髪も2週間に2回整えに行き、何とかかんとか頑張って、中年後半の容貌を中年中盤にもっていくように自分で言うのもなんだが涙ぐましい努力。

写真撮影

次に写真、面接に入る親一人と子供の写真、すなわち私と子供の写真。

どのような写真が良いのかインターネットで調べてみると、写真は決まったルールはなく、写真スタジオでとったようなものでなく、自然の姿の写真が好ましいと。

会社から帰り、自分の着る普段着を探すが見つからない。

ミニマリストになろうとした私は大半の服を処分してしまっており、普段はTシャツ、襟のついたシャツなどなかなか見つからない、ピンクのシャツが残っていたがあまりよくないということで、冬にも関わらず黒の半そでのシャツを羽織る。

一方、子供服はふんだんにあるので、かわいらしく見える服を選ぶと、私と異なり、バチっと一発で決まり、私とワイヤとで奥さんに写真を撮ってもらう。

ワイヤはとても敏感な子供で、特別な写真だと理解している、ワイヤはとてもユーモアのある子供で、特別な写真だと理解している、奥さんがシャッターを押す瞬間、意図的な変顔の連続で自然なかわいい表情の写真をなかなかとらせてもらえない、やっとのことで、いい写真が撮れたのは、おそらく、100ショット後位。

今はスマホで写真がとれるので良いが、これが昔のフィルムだったらどうなっていたことか。。。

いずれにせよ納得の一枚が撮れたので、これをすぐに、コンビニで印刷しに行く、いやはや便利な世の中で。

一番苦労の願書記入

次に願書の記入。

この願書の記入で一番のハードルは志望動機。

願書にはかなりの量の志望動機を書かなければならなかった。

まずは、幼稚園のことを何と呼ぶのか、御社、貴社、これ、サラリーマン丸出し、よって、調べると貴園というらしい、、から始まり、言葉遣いから調査の日々。

ただ、動機については、様々なアドバイスがインターネット上にあふれており、それをベースに書くと本当の動機からはずれてしまうため、内容については、いたって素直にシンプルに正直にということで、3日かけて書き上げた。

といっても、原稿はパソコンで書き、加筆修正していたのだが、実際の願書への記入は手書きで書かなければならない、私は字がとてつもなく下手なので、コピーした願書に手書きで一回練習のために記入、その後、文房具屋に行き、一番使いやすいペンと定規、消しゴムを購入し、願書本紙に丁寧に定規で行を鉛筆で薄くラインをつけ、その後、鉛筆で薄く動機を書き写していく。

その後、ボールペンでの清書で、本当につかれた。

ただ、納得のいくものができたので、大満足。

後は、その夜しっかり寝て次の日の願書提出と、子供の行動観察、子供と親の面接に備える。

選考会当日

翌朝は、輝くような青空、ワイヤの合格を約束するような縁起のいい青空だななどとおもったのだが、これは誰にでも平等に降り注ぐ青空とのことで、都合のいい妄想はやめる。

朝ごはんを食べ、親子で正装し、幼稚園へ向かう。

タタの面倒を見るために面接会場に入らない奥さんは普段着。

幼稚園の道すがら、同じように選考に参加する父母及びワイヤと同じ年の子供たちが歩いている、不思議なことに父母ともに正装している、幼稚園の前でも父母ともに並び、中に入っていっている。

ここで奥さんの怒りが大噴火。

なぜ私だけ面接に出れないのか、他はなぜ皆出れるのか、私が外国人だからかとわけのわからないことで怒りまくって道で大声をあげている。

私は、選考案内には親一人と書いてあったことなど説明したが怒りが収まらず、子供のためにもよくないと思い、謝り倒し、ワイヤと私で幼稚園の中に入っていく。

かなり気分が落ちたが、落ちている暇はない。

願書を提出するとすぐに行動観察。

行動観察というのは複数の子供たちが同時に先生の前で比較的自由に遊ぶというもの、その行動を見て、なんらかを判断するらしい。

何を見ているのかわからないが、3人の先生が何やら観察してメモをとっている。

こちらも緊張してくる。

ワイヤはというと面白いものを見つけては私のところに見せにやってくる、他の子はというと熱心に一人で遊んでいる。

やばいかもしれない。

と思いつつ行動観察終了。

その後、すぐに、親子面談。

そばではほかの子のお母さんが、「今まではなになにちゃんががんばったから、今からはお母さんが頑張る番」と言い聞かせ、気合を入れている。

「こっちはそんな覚悟ないよー」と思いながらもすぐに先生に個室に呼ばれ、面談。

ワイヤへは朝ごはん何を食べたのか日本語で聞かれる、あまり日本語がわかっていないので、好きな食べ物でアイス、チョコレートなどと言われたらいやだなーと思いながらも、卵とかベーコンとかスペイン語で話しているので私は訳す。

子供の質問はその程度でその後、みっちり20分程度私への質問攻め。

かなりの質問で少々面食らったのだが、思っていたことを素直に説明し、面接終了。

面接が終了し、無事解放され、奥さんと再会したワイヤは嬉しそうにその日の活動を話し、その幼稚園のすばらしさを伝えている、一方、奥さんは、子供には優しいが、私への朝の怒りが収まらないせいか、かなり冷たい。

これで落ちるようなことになったらどのような罵詈雑言を浴びせられるかわからないので、背筋が凍る。

ただ、ワイヤは本当に頑張ったと思うので、お昼はイオンのフードコートで大好きなちゃんぽんを食べ、夕刻の合格発表を待つ。

(ありきたりな表現だが、、、)運命の合格発表

昔と異なり合格発表は、掲示板等で行うのではなく封筒で合格か不合格か書いてあるらしいとのことで、発表時間に行くと長蛇の列。

校庭で列に並んでいる間、ワイヤはその幼稚園の校庭の遊具がかなり気に入ったらしく遊びまくっている、これで落ちてしまったらどれほど落胆するかとさらにプレッシャーが増す。

長蛇の列を並び、最終的に封筒を受け取る。

受け取った封筒をどこで開けるか、私たち一家はちょっと離れた街燈のところへ行き、そっと封筒を開ける。

なんとうれしいことに中には合格の文字が。

この年で合格不合格を決めるなんてひどいと思いながらも、合格というと嬉しいもので、最初の家族全員プロジェクトは成功をおさめ、めでたしめでたしの一日であった。

付け加えるならば、合格をもらった奥さんは、その場で機嫌が直り、それも本当に良かったよかった、めでたしめでたし。

ワイヤには、ここまで皆で頑張った幼稚園の入学準備なので、3年間ぜひ楽しみまくってほしいと思った。

また、ワイヤが入ると自然にタタも入りやすくなるという、ぜひタタのお受験の日に備えてワイヤにはお兄ちゃんとして当家の良いところをさりげなーくアピールしてもらって頑張って遊んでもらいたい。

おめでとう、ワイヤ!!!

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