すべては整った、水の給排水の仕組みの机上の空論、資材の調達、夢の洗面所が設置される予定の床、壁。
ということで、ついに洗面台を設置する工程に入る。
まずは、給水システムの組み立てを行う。
洗面室に一番ちかい土間の外に、鉄パイプでやぐらを組み上げる。
やぐらは簡単なもので、2Mの鉄パイプ4本を70Cmの鉄パイプ4本を横に通して、簡単に組み上げたもの。
強固ではないが別に人が乗るものでなく、単にローリータンクを乗せるだけなので、適当でサイフォンの原理が働くように高さだけあればよい。
よって、このローリータンクの下の部分が少なくとも蛇口より高くなくてはならず、大体150Cm程度の高さの部分に先ほどの4本の70Cmの短い鉄パイプをつなぐ。
パイプを組んだらすぐに200Lのローリータンクを乗せてみる。
うまい具合にやぐらにのった。
現在はからのタンクなので、空中におかれ、安定していないが、水を入れてやれば重しとなり自然に安定するであろう。
次にローリーにバルブをつけ、塩ビ管につなぐようにする。
塩ビ管と塩ビ管用の接手を仮止めし、洗面所の部屋の中に誘導する。
パイプを床に這わせ、その後、蛇口を置く予定の位置の下で、今度は上に向け、塩ビパイプをつないでいく。
小学生の図画工作といった簡単さである。
ただ、注意しなければならないのは接手の部分で水漏れが起こらぬよう、塩ビ管を切ったところの切り口の処理はしっかりと行う。
具体的には、サンドペーパーでしっかりとでっこみひっこみのむらをとり、スムーズに接手と接着できるようにする。
配管は終わった。
次に、大人用シンクとなる金魚鉢と子供用シンクとなるお皿に排水用の穴をあける作業である。
この穴開け作業のためにダイヤモンドをちりばめたというドリルを購入していた。
このドリルは様々な大きさのドリル12種類で2000円弱。本当に安い。
使えるのか心配であったので、取り急ぎ、使わないお皿を利用して穴をあけてみる。
このドリルをインパクトドライバーに装着し、穴をあける箇所にまずは軽い力で斜めに傷をつけ、そこをとっかかりにドリルを水平にあて、熱を持つので、水をかけながらゆっくりと削っていく。
砥石でナイフ類を研いでいるときのように水が濁り最終的にきれいな穴をあけることができた。
このダイヤモンド素晴らしい。
私は宝石としてのダイヤモンドの価値はわからないが、2000円でこれだけのセットで陶器にきれいに穴をあけてくれるダイヤモンドの価値はとてつもなく高いものだと認識した。。
練習はおわったので、本番、まずは安いほうの子供用のお皿でやってみる。
(お皿は安いし、しかもコメリで売っているので、万一失敗してもすぐに購入できる、一方、金魚鉢は高価でしかも通販なので、入手に時間がかかる、万一の失敗も許されない。)
とのことで、練習の時と同じ要領で慎重にお皿に穴をあけていく、すぐにきれいな穴をあけることができた。
次に、金魚鉢、これまた同様の要領で穴をあける、はい、開いた。
お皿と金魚鉢が、おしゃれな和風のシンクに変身した瞬間である。
次に、洗面台となるベースの板で180Cmのものを90Cmと90Cmに切る作業。
これは、大人用と子供用の洗面台の高さが違うために切る必要があった。
次に、それぞれの板の中央にお皿の直径マイナス1Cm、金魚鉢の直径マイナス2Cmの穴をあける、これはドリルでは無理なので、円を描いた後、ジグゾーで慎重にくりぬいていく。
その後、その板にはもう一か所、真鍮のアンティーク調の蛇口を取り付ける穴をあける、これは、ドリルで蛇口と同じサイズの穴をあけるだけ、至極簡単な作業。
木と水の相性が悪いことから、木の表面に防水効果のある黒い壁紙をはりつけ、撥水加工とした。
次に、洗面台を壁にL字の棚受けを利用し取付ける。
まずは試しに金魚鉢のシンクとお皿のシンクを大人用、子供用それぞれの台に置いてみる、素晴らしい、素晴らしすぎる、美しすぎる見かけである。
黒い木目調の洗面台に陶器のシンク、それにアンティーク調な蛇口。
完璧なマッチング。
しばらく見とれた後、再び作業に入る。蛇口と塩ビ管をしっかりとつなぎ給水の配管は完成。
次に排水である。
排水はもう超単純で、100円ショップで買ってきたロートの先にホースをつなげ、そのロートをわたしとダイヤモンドで開けた穴の下に、針金とねじで固定。
排水のホースの先は外にある浄化槽へと続く排水管につないでやる。
これは、ロートから排水管につなぐところまでは、上から下への流れであり、サイフォンの原理など関係なく、流せば普通に自然に流れるというもの。
給水、排水、洗面台、すべて整った。
構想から3週間、実際の工期は丸1日、これで憧れのゴージャスな洗面台完成である。
後は、実際に機能するのか確認が必要であり、私はあらかじめ持参していた水のタンク20Lx2、合計40Lの水を、風呂の残り湯を洗濯機に吸い上げる電動の簡易ポンプを使い、吸い上げローリータンクへ。
ローリータンクには40Lの水がたまり、その水はサイフォンの原理にしたがい、きれいな水で奥さんや子供たち、来客の歯磨きをサポートすべく、ローリータンクの中でうずうずしている。
私はゆっくりとローリータンクの蓋を閉め、給水のもととなるバルブを開放する。
次に家の中に入り、まずは子供用の蛇口をあけてみる、子供用の蛇口は低い位置にあり、難度が低い、当然しばらくは空気が抜けるだけで出てこない、これは、山の水引で経験済み。
しばらく待っていると、出たーーーー、きれいな水が出てきた。
子供用の水をとめ、次に大人用の蛇口をひねる。
すぐに、でたーーーー、こちらもきれいな水が出た。
ここで水を出しっぱなしにし、外に回り、排水ホース先を確認してみるとしっかりと排水されている。
給水よし!、排水よし!、見かけよし! 見事に三拍子そろった洗面室の完成である。
後は、ボロボロになっている壁などを撤去し、あらたに1x4材で化粧を施し、洗面室の完成である。
後日談となるが、私は得意満面の顔で奥さんと子供に洗面室を披露し、喝さいを浴びた。
特に子供たちは東京の家では、なかなか歯磨きを自分でしようとしないのだが、自分専用の洗面台があるのがよっぽどうれしいのか、歯を磨いてというと、一目散に洗面室に向かい、喜々として歯を磨いている、この光景が見たくて作ったものなので、子供たちの歯磨きをみて私もかなり幸せにしてもらった。
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